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エストロゲンの管理

By Cal Orey
エストロゲンの管理は、今や最も注目を浴びる女性の健康問題でしょう。実際に妊娠が可能な、若くみずみずしい時期から晩年に至るまで、体内の化学物質ががらりと変化する時は、女性ホルモンのエストロゲンが重要な役割を果たしているのです。時には救済者、時には悪の根源と、上げたり下げたりの評判を取るエストロゲンですが、議論を巻き起こしたり誤った情報が伝わったり、あるいは徹底的に無視されたりとともかく話題を提供してくれます。ホルモン補充を受けるべきかどうかという、人生でも極めて重大な決定をくださなければならない中年期の女性は、合成化学物質だの自然物質だのと難解な選択の迷路に迷い込むようです。


The Role of Estrogen(エストロゲンの役割)

エストロゲンは、性ステロイド・ホルモンと呼ばれる調和の取れたタイプのホルモンに属するのですが、その種類には次のようなものがあります。

■ エストロゲン(Estrogen):Marla Ahlgrimm(マーラ・アールグリム)、John M. Kells(ジョン・M・ケルス)共著「The HRT Solution」によると、3つの成分からなるグループと定義されています。エストラジオールは、最も強力なもので主に卵巣で分泌されます。体脂肪に蓄積されたホルモンから派生するエストロンは性質は似ていますが、エストラジオールより効果が薄いといわれます。最も有効性の低いエストリオールは主に妊娠中に分泌されます。強力な抗酸化剤エストロゲンは、フリーラジカルによる損傷から動脈を保護するものです。HDL(「善玉」コレステロール)の分泌を増し、LDL(「悪玉」コレステロール)を低下させます。また、血中の凝血形成物質濃度を下げ、脳細胞間のメッセージ伝達を活発にもするのです。皮膚の組織を作り正常な状態を保つ結合組織、コラーゲンの生成を支援します。骨の中のエストロゲン・レセプターは骨の質量維持に力を貸し、体のカルシウム活用を支えるものです。

Journal of National Cancer Instituteに掲載された研究によると、エストロゲンは胆汁酸を減らして結腸がんの危険性を低下させるということです。また、Mary Ann Mayo(メリー・アン・メイヨー)、Joseph L. Mayo(ジョセフ・L・メイヨー)両医師は、共著「The Menopause Manager」の中で、血糖バランスを改善し、糖尿病患者にありがちな心血管系障害を防ぐと指摘しています。

さらにメイヨー両医師は、アルツハイマー疾患の強力な予防法としてエストロゲンに目を向ける研究者が増えていることも明らかにしています。

エストロゲンはホルモンのプロゲステロンとの併用で、乳がんの発生や再発の危険性を低くするということです。

■ プロゲステロン(Progesterone):卵巣と副腎で分泌されるもの。文字通り「for gestation(妊娠のため)」という意味で、子宮内膜に受精卵の着床を準備させることで妊娠を可能にし、妊娠中もその状態を維持します。また、子宮内膜をはがし流すよう合図を送ります。豊富にあることが脳で認識されると、神経伝達物質と結合して鎮静効果を与えます。一方欠乏すると、怒りや不安感を誘発するのです。神経組織を維持し、骨組織を形成する造骨細胞を刺激、他のホルモン分泌の制御もします。さらに、感情の揺れ動き、鬱状態、体重増加、PMSに見られる渇望症状、不眠、不安感、寝汗、更年期に伴う性生活への無関心などとも関連するということです。

■ DHEA(Dehydroepiandrosterone):皮膚や脳の他に副腎でも分泌。他のホルモンの代役を務め、免疫システムを強化、骨の成長を促します。動脈の脂肪蓄積を減少させ、認識力を高めたり気分を高揚させたりもするのです。 

The Hormonal Balancing Act(ホルモンバランス法)
原則的にエストロゲンとプロゲステロンは、不安定な状態で一緒に働きます。エストロゲンが多すぎると、子宮内膜に異常な蓄積や多量の出血が見られます。またプロゲステロンが少なすぎると、受胎が困難になったりPMSが悪化したりするのです。

早ければ35歳頃から閉経期に近づくと、エストロゲン濃度に比例してプロゲステロンの分泌も落ちてくるのです。Susan Lark(スーザン・ラーク)医師は著書「The Estrogen Decision」の中で、この不安定が子宮類線維、PMS、生理周期や量の変化を引き起こすと説明しています。また、同医師は「ホルモン濃度がどんどん低くなると、その後の数年間で女性の体は徐々に老化する」とも書いています。良いホルモンが不足した場合、骨粗しょう症や心臓病に罹る危険性も増大してしまうのです。  
Feminine Forever, NOT!(いつまでも女らしく、でもダメ!?)

エストロゲン補充の実情はどういうものでしょうか。遡ること1968年、Robert A. Wilson(ロバート・A・ウィルソン)氏は著書『Feminine Forever』の中でエストロゲンの若返り効果を宣伝しており、この10年ほどの間にエストロゲンの売上は女性の間で急増しました。しかし、1976年のNew England Journals of Medicineは、エストロゲン補充と子宮内膜がんとの関連性を報告しており、女性をエストロゲン補充から遠ざけました。

1980年代から、エストロゲンは子宮内膜がんの危険性を減少するためプロゲステロンと併用されるようになりましたが、これがホルモン補充治療(HRT)と呼ばれるものです。医師は、手術によって早く閉経期を迎えた女性や骨粗しょう症の予防・治療のために、そしてほてりや寝汗、膣の乾き、性交時の不快感などの緩和にエストロゲン補充を薦めています。

HRTと閉経期後の女性の死亡率を調べた、大規模で長期の研究報告がThe New England Journal of Medicine に掲載されましたが、これによると10年以上ホルモン治療を受けた女性は、どんな病気が原因でもその死亡率が20%減少したということです。1976年(被験者が30歳から55歳)に開始されたNurses' Health Studyの一部となる研究では、HRTを10年行うと死亡率が37%低下したことを明らかにしました。特にHRTは、心臓病での死亡率を53%、卒中で32%、がん全般では29%、乳がんで24%低下させたということです。
The Natural Stuff(自然物質)
人の平均余命が長くなると、おそらく女性はHRTを長年にわたって受けることになると専門家は指摘しています。しかし、それほどの長期的な影響については不明なのです。

New Mexico School of Herbal Medicine and ResearchのTieraona Lowdog(ティエラオナ・ロウドック)医師は『HRTを15年、20年と受けるとどうなるかまだ分かっていない。長期に治療を受ける女性が、若いころ避妊薬を飲んでいた場合は特にである。彼女らが人生を通して受けるエストロゲン量はかなり高いものになる』と述べています。

こうした女性を始め他の多くの女性は、閉経期を乗り切るため自然療法の道を捜し求めているようです。カリフォルニア州サンノゼ在住のVikki Peterson(ビッキー・ピーターソン)氏は『自然のエストロゲンはヤムイモや大豆から取れ、私たちが生命を生み出す状況と化学的に全く同じ』と説明しています。植物はどれでも自然のエストロゲン(フィト<植物>エストロゲン、またイソフラボンやリグナンと呼ばれる)を含んでいますが、大豆、ヤムイモ、亜麻種や数種のハーブには特に豊富に含まれているのです。 

Soy, Nature's Estrogen(大豆、自然界のエストロゲン)
Archives of Internal Medicineの中で研究者は、大豆やヤムイモから抽出した植物エストロゲンの少量摂取で、閉経期の女性406人の骨損失を防ぎ、のぼせや寝汗、乳房の痛み、頭痛、吐き気を緩和したことを報告しています。この研究に参加した女性はまた、コレステロール値もかなり下がりましたが、エストロゲンの多量摂取が関連すると思われる膣出血や異常な子宮細胞成長といった副作用は見られなかったということです。大豆やヤムイモ・エキスの他に、被験者はカルシウム補助剤を毎日摂取しました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の主任研究者であるHarry K. Genant(ハリー・K・ジナント)博士によると、合成エストロゲン補充治療を始めた女性の多くは、乳がんの危険性増加などの副作用のため2年以内で治療を止めています。東洋の女性は大豆が多く含まれる食生活を送っており、更年期障害で苦しむことも少ないといわれることから、欧米人はきっとその東洋からヒントを得るでしょう。日本では、『hot flash(のぼせ)』の専門用語はないということですし、乳がんの罹患率もアメリカに比べると低くなっています。

大豆フィトエストロゲンとの関連性は、この女性向き栄養素の効果に関し、多くの研究を行っている研究者の興味を引いています。95年、閉経期の女性58人を対象に行われた研究では、大豆を多く取るとのぼせが和らぐことを明らかにしました。別の研究では、乳がんの危険性や骨質量損失に対するフラボノイドの前向きな効果が証明されています。

Yam Cream for Bone Density(骨の質量問題にヤムイモ・クリーム)
カリフォルニア州ロサンゼルス在住の鍼専門家Majid Ali医師によると、38歳から83歳までを対象にした臨床研究で、自然プロゲステロンを含む野生ヤムイモDoiscoreaのエキスクリームを使用している女性は、骨質量が平均25%増加したということです。

ヤムイモクリームはプロゲステロン濃度を制御することによって、骨成分の造骨細胞(骨の中のカルシウム増加を管理する細胞組織)の働きを増進させるのです。クリームには副作用がないといわれ、不安感や鬱症状を抑え活力を増すと専門家は指摘しています。また、肌に自然プロゲステロンを塗ることで、性欲も高めるということです。

エストロゲン関連の研究が進むにつれて、エストロゲン濃度を気にする女性のための選択肢はさらに広がり、はっきりしてきたはずです。選び方もますます賢くなるでしょう。

Estrogen Loss: A Threat To Men(エストロゲンが無くなる:男性の気がかり)
エストロゲンは、女性の体に豊富にあり、大きな影響を与えますが、男性の体内でも分泌するものです。男性のエストロゲンは、65歳頃から少なくなり骨の損失を導きます。National Osteoporosis Foundationの推定では、米国の骨粗しょう症患者1千万人のうち150万人が男性。昨年12月に開かれたAmerican Society for Bone and Mineral ResearchとInternational Bone and Mineral Societyの会合でそれぞれ発表された研究報告によると、骨粗しょう症に罹りやすい男性では、テストステロン不足よりむしろエストロゲン濃度の低下を表したということです。ただ、男性のエストロゲン補充治療が前立腺障害や性的不能を起こす危険性が指摘されていることから、医師らはさらに研究の必要性を主張しています。 

Herbs and Nutrients to the Rescue(苦痛緩和のためのハーブや栄養素)
次のようなハーブや栄養素は、若い女性から更年期の女性に至るまで広く使われています。


苦痛緩和のためのハーブや栄養素
Dong Qual 中国ハーブに含まれるフィトエストロゲンで、エストロゲン濃度を維持すると考えられています。のぼせを和らげ、疲労感やホルモンの不安定を緩和する活力促進剤。
Black Cohosh
(キンポウゲ科サラシナショウマ属)
エストロゲン性ステロールやエストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの基本成分を補給すると考えられるフィトエストロゲンを含みます。 Steven R. Goldstein(スティーブン・R・ゴールドスタイン)医師とLaurie Ashner(ローリー・アシュナー)氏は共著「Could it Be... Perimenopause?」の中で、ドイツで行われた女性80人を対象にした研究では、Black cohoshを摂取するとPremarin(プレマリン=雌馬の子宮から化学的、薬学的に合成された)と同じ症状緩和が見られたということです。一方偽薬を摂取したグループにはそれほどの変化は見られなかったことを報告しています。
Chasteberry
(イタリアニンジンボク)
このハーブに含まれるフィトエストロゲンは、女性ホルモンのバランスを保ち、PMSや更年期障害の辛い症状を緩和すると考えられています。Ruth S. Jacobowitz(ルース・S・ヤコボウィッツ)著「Estrogen Answer Book; 150 Most-Asked Questions About Hormone Replacement Therapy」によると、 効果が現れるまで数ヶ月継続する必要があるということです。
Ginseng
(朝鮮人参) 植物化学物質がエネルギーを促進。スェーデンで行われた研究では、朝鮮人参摂取で更年期の女性の40%に健康向上が見られたと指摘されています(1997年に開かれたNorth American Menopause Societyで発表)。
Vitamin E Susan M. Lark医師は著書『Woman's Health Companion:Self Help Nutrition Guide and Cookbook』の中で、1943年のBritish Medical Journalに掲載された閉経期女性47人を対象にした草分け的研究を紹介していますが、これによると、ビタミンEの摂取で被験者の64%にのぼせ症状の緩和が見られ、膣の萎縮症状も少なくなったということです。
B Complex
(ビタミンB複合体)
この栄養素は、有害なエストロゲンを転換し排泄させます。Raquel MartinとJudi Gerstung両氏は、エストロゲン濃度を制御する肝臓の働きを助ける可能性を指摘しました。


この記事は米国健康情報誌 Energy Timesの1999年3月号から抜粋されたものです。
This article is selected from Energy Times, and translated by EarthPure.Energy Times is published monthly by Energy Times Inc., a division of NATURAL ORGANICS, Inc.All rights are reserved.


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